2013年レースレポート

2013 MOTORSPORTS REPORT




Super Taikyu GT3



TEAM NOVA

スーパー耐久シリーズ 第4戦 SUPER TEC

2013年8月10日-11日 富士スピードウェイ

公式予選 8月10日(土)  天候:晴れ 路面:ドライ
総合7位、クラス7位

今年の猛暑はこの予選日にも容赦なく襲い掛かり、
富士スピードウェイでも気温37度を計測するほどの暑さであった。

前日の専有走行では、GT-R勢が抜群のストレートスピードで
コースレコードを更新する走りを見せ、
ストレートで劣るAudiの苦戦が予想されていた。

Aドライバー湯澤は4周目で1’44.739をマーク。
トップの81号車GT-Rとは3秒のタイム差があったがこのタイムがベストとなり、
7番手を獲得しセッションを終えた。

Bドライバー予選では荒が奮闘し1’43.585のタイムを叩き出した。
しかし、24号車GT-Rがレコードタイムをマークする走りを見せ荒は6番手。

決勝グリッドを決めるA・Bドライバーの合算予選タイムでは7番手であった。
Cドライバー渋谷は予選通過基準タイムを無事クリア。
このセッションでは8番手となるタイムで走行を終えた。



決勝レース 8月11日(日)  天候:晴れ 路面:ドライ
クラス6位

引き続き酷暑の中迎えた決勝レース。
7時間レースとなるこの第4戦はレギュレーションにより
4回以上のドライバー交替を義務付けられている。

スタートを担当するのは荒聖治。
荒はスタートで32号車PORSCHEを抜き6番手へポジションを上げる。
前を走るのは28号車SLSでその差は1.2秒。
荒は6番手を死守しながら周回を重ねるが、その差は徐々に開き始めていた。

件が起こったのは20周目。
荒がST-4クラスの50号車アバルトにぶつけられピットインを余儀なくされてしまった。
このピットインでマシンのチェックと給油、
渋谷へのドライバーチェンジを行い再びレースに復活。

ところが、渋谷がコースインした直後、
コース上にストップした車両回収のためセーフティカ―が導入され、
3周に渡りセーフティカ―先導の走行となった。

セーフティカ―がコースを離れたのはスタートから
およそ1時間が経過したタイミングであったが、
この時点で渋谷のドライブするAudiはトップから6周遅れとなっていた。
この後、渋谷は42番手まで後退していた順位を16番手まで上げて行ったが、
黄旗追い越しによる30秒ストップのペナルティを課せられピットイン。

ところがペナルティを消化しコースに復帰した途端、
今度は86号車に衝突され再びピットイン。
マシンチェックとタイヤ交換のみで渋谷はレースに復帰する。
このときの順位は22位であった。

2時間を過ぎ順位を19位に上げた渋谷だったが、
今度は19号車フィットとの接触により3回目のピットイン。
マシンに問題はなく、このピットストップでドライバーを湯澤にチェンジ。
この時点でスタートから2時間55分が経過していた。


ステアリングを渡された湯澤は安定したラップタイムで周回を重ね
ポジションを11番手まで回復させる。この頃から雲行きが怪しくなり、
チームは雨に備えウエットタイヤの準備を始めていた。
ところが、渋谷がドライブ中に取られた黄旗追い越しのペナルティのため、
湯澤は10秒のペナルティストップを余儀なくされる。
そして引き続き19号車フィットとの接触事故によるペナルティが8号車Audiに課され、
湯澤は今度は30秒のペナルティストップを受けることとなった。

このペナルティストップを消化したのはスタートから3時間半が過ぎた頃。
この頃から風が冷たくなり、雨が降り始める。

雨が激しさを増し、上位陣が続々とウエットタイヤに交換するため
ピットインし始めたのはスタートから4時間半が経過した頃であった。
8号車Audiもタイヤ交換のためピットインし、荒へのドライバー交替後レースに復帰。
この時トップから12周遅れの8番手であった。

その後天候が回復し、ラストバッターとなる湯澤に7番手でドライバーチェンジ。
前を行くのは32号車ポルシェ。ポルシェとは同一周回となるため、
湯澤はこのポルシェを抜くべくプッシュして行く。
そして6時間が経過した時、前のポルシェが脱落。
6番手にポジションアップするが
32号車ポルシェは湯澤を上回るラップタイムで再び迫って来る。

レースが残り30分となった頃にはポルシェは湯澤の背後にピタリと付けて来た。
いったんはコース外に飛び出し後退したポルシェであったが、
ラスト10分で湯澤を交わし、その順位のままチェッカーとなった。



■Aドライバー 湯澤選手のコメント

予選は荒選手が決めてくれたセットでかなり乗りやすく攻められました。
ですが、まだまだ攻めきれていない、車の限界を出し切れていなかったので
次回それが出来るよう努力します。

決勝は前回よりも上手くトラフィックを捌けるようになり
平均ラップタイムが良くなりました。
しかし、1回目の走行の後半でデミオと接触してしまった点は良くなかったので
次回気を付けてさらに速く走るように頑張ります。

2回目の走行は、それまでゲリラ豪雨で難しい状況だったのですが、
荒選手が路面の乾くタイミングまで走り切れた
(プラチナドライバー走行制限ギリギリのところまでウエットタイヤで走れた)
おかげでスリックタイヤで問題なくコースを走行することが出来ました。
ペースは1回目の走行より早く走れていて、一時は5位になったのですが
後ろにいたポルシェのペースが速くて抜かれてしまい、6位チェッカーで終わりました。
もう少し集中しタイムを上げていたら
5位まで行けたかも知れないので、反省して次に繋げようと思います。

今回色々な出来事(ペナルティ、接触)があり良くはない流れでしたが、
6位完走できポイントゲット出来たのは嬉しく、次回さらに頑張ろうと思いました。

車両調整で富士では他のGT3車両と比べて10キロもストレートスピードが違ったのですが、
次戦岡山では富士のようにストレートは長くなく
コーナーが多いのでしっかり走り3位以上を狙いたいと思います。



■Bドライバー 荒選手のコメント

今回の富士では、金曜日の走行で試したクルマのセッティング変更により、
7時間というロングディスタンスレースを安定したラップで
走るセッティングを見つけることができました。

しかし、FIAの定めるBOPにより、小さなエアリストレクターが装着されているため
富士スピードウェイの1.5kmという長いストレートでは
ライバルとの差が大きく出てしまいました。
また他車に接触されたり、ペナルティを受けてしまったりと、
予想外のピットストップによるタイムロスで大きく順位を落としてしまいましたが、
3人のドライバーによって安定したペースで走りきり
6位まで順位を戻せて良かったと思っています。

正直、BOPに関しては見直してもらいたいですが、
次の岡山はアウディR8のコーナリングの速さを活かし上位を狙いたいと思います。



■Cドライバー 渋谷選手のコメント

総参加台数53台にも及ぶ8月夏真っ只中の7時間耐久レースを行うにあたり、
今回も体重管理を含む万全の体調管理を持ってレースに挑んだ。

レース当日は、所によっては40℃を超す記録的猛暑日となり、
実際金曜日フリー走行の時点でも路面温度は約60℃に達しており、
レースカーの状態は勿論の事、ドライバーのコンディションにも心配が及ぶ
厳しい戦いが予想された。

そのような中、当初の予定では決勝7時間レースのうち、
自分の担当は第2スティントと第5スティントの
トータル約100ラップ・3時間オーバーの走行予定であった。


いよいよ11時にローリングスタートが切られ、第一ドライバーを担当していた荒選手が
素晴らしいラップタイムで6位走行する中、
20周目に残念ながら他クラスの車両に接触される形でコースアウト。
マシントラブルが発生してしまい緊急ピットインとなってしまった。
予定外の車両修復を含め、相応の時間がかかる事をチームが判断して、
荒選手から自分へ急遽ドライバーチェンジする作戦が取られた。

精神的にもブレない、
何が起きても焦る事の無い自分であろうと常日頃心掛けているものの、
さすがに今回の急展開には焦りを感じた。
普通、長時間レースカーに乗る前にはトイレに行っておくのが常であるし、
乗り込む前にはドリンクを飲むようにもしている。
車内に持ち込むドリンクに関しても自分の好みの飲み物を準備しておくのが通常である。

…そのどれをする間も無く乗り込まなければならなかった。
すでにこの時点で総合42位にまでドロップしており、
トラブル無く走り切る事は、表彰台・優勝への必要条件でもあり、
そう言った意味ではもはや勝負権は無いようにも思われた。

ドライバーチェンジをし、レーストラックに出てみると、
直ぐに尋常じゃない熱風が通風口から出て来る事に気づき、乗り始めの時点から、
これはすでにクーリングデバイスとは言えず、
むしろドライバーの体力を奪うために熱風が出て来ているものとすら感じられた。
クールスーツは問題無く作動していたためプラスマイナス0と言ったところであったろうか。
とにかく暑かったのは間違い無いが、集中力を切らさぬように走行を続けた。

そのような中、他の車両のトラブルやクラッシュが相次ぎ、
あらゆるコーナーポストでイエローフラッグが振られていた。
車速差が最大約100km/h程もあるGT3クラス‐ST5クラスにおいて、
自分の中ではお互いが譲り譲られる事が
当然であるかのような錯覚を起こしてしまっており、
不覚にも気付かぬうちに黄旗区間で追い越しをしてしまっていたようである。
これにより、当然ペナルティストップの裁定を受けてしまった。


ペナルティストップ消化後には、今度は青旗の振られるAコーナーで
際どく進入した際に4クラスの車両と接触してしまう。
後にこの車両の方がペナルティを受けたようだが、
いずれにしてもこの接触により右リアのホイルに異常を感じ、
こちらも予定外のPITインを再度余儀無くされた。

無線の混信がこのとき起き、4度状況を伝えたもののクルーには届かず。
この時点でチームは4輪交換とフル給油の作戦を取り、飲み物も切れたまま、
自分としては更なる想定外の連続スティント満タン走行に移行して行った。
引き続き、暑さと他車との駆け引きでスタミナも消耗して行ってはいたものの、
その時のトラフィックの条件下でベストを尽くそうと奮闘していた。

78周目、またもやAコーナーで5クラスの車両をパスしようとした際に、
際どく進入した事から接触を喫してしまう。
5クラスのマシンに対し青旗は振動表示されていた。
いずれにしても、体力的にはまだまだ行けたが、これにより再度のPITイン指示と、
総合順位19位まで追い上げたこの時点でのドライバーチェンジの方針となった。


その後はいわゆるゲリラ豪雨にも見舞われる荒天の中、
荒選手・湯澤選手の好走にも支えられ、
トータル212周走破し総合6位フィニッシュとなった。
今回、ペナルティを受けるに至った過程を考えると、
様々言いたい事はあるものの、結果的にペナルティを受けるミスを犯したのは自分であり、
不甲斐ない走りをしてしまった自分に反省しきりな一戦となってしまった。

素晴らしいチームメイトに学ぶ事は多く、結果は今ひとつとなってしまったものの、
確実にドライバーとしての進化は果たせたものと自覚している。
今回の反省点を上乗せし、
次回は結果的に上位でレースを終える事の出来るよう気を引き締めて望んでいきたい。

チームメイト、チームスタッフ、応援しに来ていただいた
スポンサー様各位には大変感謝しています。




TEAM NOVA使用マシン:AUDI R8 LMS ultra

HOME   |   MAIL